第67章

二人がいい雰囲気を演じているところへ、三村正明がコンコンと扉を叩いた。しょんぼりした顔で、薬膳の盅を両手に抱え、入口に立っている。

その薬膳は、酒井初音が御影怜司の体を整えるために、わざわざ用意させたものだった。食材自体が手に入りにくいだけじゃない。配合に使う素材も、薬膳に入れるなら一級品を選ばなければ意味がない。手間も金もかかる。

昔なら、初音はこういうことを全部、自分でやっていた。久世家の直哉――久世直哉の体を調えるために。

何十時間でも薬を煎じた。薬膳スープのために、山へ入って採れたての人参を掘りに行ったこともある。

全身傷だらけになっても、人参を傷つけないように気を張った。遅...

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